糖尿病とは?
血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がる病気です。血糖値が高くてもすぐに問題となることはあまりありませんが、数年間続くと全身の血管を障害して合併症をひきおこす可能性が高くなります。この合併症を防ぐために血糖値を下げることが糖尿病の治療の目的です。
糖尿病の自覚症状
初期の糖尿病や境界型糖尿病では自覚できる症状はほとんどありません。そのため、
- 健康診断などで血糖値が高いと指摘された
- かぜで受診したクリニックで尿糖が出ていると言われた
- HbA1cが高いと言われた
など何の症状も無いのに検査値の異常ではじめて指摘される人が多い病気です。
血糖値が多少高くても痛くもかゆくもありません。これが糖尿病の恐ろしいところです。
「何も症状がないのになぜ治療しなければいけないのか?」と考え、とりあえずしばらく様子を見てみようと自己判断され、数年後には糖尿病、合併症が悪化してしまったといった人にこれまで数多くお会いしました。症状がなくても糖尿病による血管障害は気付かない間に進行します。
糖尿病の合併症
血糖値の高い状態が続くと血管に障害をきたすため糖尿病合併症をきたします。
以下の糖尿病3大合併症の他に、大血管障害である脳梗塞や心筋梗塞のリスク因子ともなります。これらの合併症をおこさないため血糖コントロールを行うことが必要となります。
- ① 糖尿病性網膜症
- 気付かない間にだんだん視力が低下し、最悪の場合失明します。高血糖のために眼底の血管が障害されることが原因です。
- ② 糖尿病性腎症
- 尿検査でタンパクがでるようになったり、足や顔がむくむようになったりします。高血糖のために腎臓の糸球体がこわれてしまうことが原因です。血糖値が高い状態が続くと最終的に人工透析が必要な状態となることがあります。
- ③ 糖尿病性神経障害
- 足先がしびれたり、立ちくらみがしたり、便秘になったりと障害を受ける神経によって症状はさまざまです。
糖尿病と診断されたら
血糖値を保つには具体的にどのような治療があるのでしょうか?
- ●食事療法
- 糖尿病の一番大切な治療方法です。食生活を整えることは血糖値を改善させます。まずは適正なエネルギー摂取量やバランスのとれた食事内容を知っていただくことから始めます。無理をせず継続することが大切です。
- ●運動療法
- 散歩などの有酸素運動は血糖値を下げる効果があります。また筋肉トレーニングもインスリン抵抗性を改善して糖尿病によい影響を与えることが分かってきました。
- ●薬物療法
- 食事療法や運動によっても血糖値の改善が不十分な場合には、内服薬やインスリン治療などにより血糖値を下げる必要があります。著明な高血糖を認めるなどの理由で最初から薬物療法が必要な場合もあります。